7月の米国市場は2022年3月以来の大きな上昇月となりました!…6月のFOMC終了後の時点では、まさかここまでの反発ラリーとなるとは夢にも思っていませんでした。
7/13に発表された米国6月CPI(消費者物価指数)は市場予想(8.8%)を上回る9.1%が発表されました。今年最大の物価の上昇率でしたがエネルギー関連の上昇が目立つ結果だったこと、エネルギー価格はすでにピークアウトしているという観測などからインフレ(物価上昇)はピークをつけたと解釈され、大きな下落には陥らずに反発。
7/27のFOMCではFRB(米国の中央銀行)は75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを発表。予想通りの利上げ幅だったこと、パウエルFRB議長が「利上げペースを緩めることが適切となる可能性」について言及したことから株価は急騰する結果となりました。
株価は6月下旬から7月末まで急騰する流れとなっています。理由の以下の通りとみています。
・市場関係者はスタグフレーション(不況下のインフレ)への懸念が後退したと判断
・米長期金利(米国10年国債利回り)が2.6%台まで低下
・景気後退を意識。景気後退してもFRBが利上げペースを緩めることへの期待感
・企業決算が想像していたほど悪いひどい内容ではなかった
問題は今回の株価上昇は期待と憶測を織り込んでいる可能性が高いという点です。インフレはピークアウトしたかは現時点ではまだわかっていません。つまり確証がない要素を織り込んで楽観的なシナリオを組み、期待感から株価は上昇していると考えられます。そのため現時点で織り込んでいる楽観的なシナリオが崩れたら株価は急落すると思われます。
次のFOMCは9月であるため、これまでより期間があります。次のFOMCでも50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが想定されていますが、利上げ幅はその時のインフレ状況次第といえるでしょう。
少なくとも現在の株価はかなり楽観的なシナリオを織り込んだ上での水準とみておくべきと思われます。そのため、この水準から積極的に投資することはリスクが高いと考えています。
以下、現在(2022/7/31時点)のMyポートフォリオの情報となります。
Myポートフォリオ(2022/7/31時点)
保有銘柄とポートフォリオ内の比率
現在(2022/7/31時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりです。
現在のポートフォリオ
XLE(エネルギーETF)を一部利確。GLDM(SPDRゴールド ミニシェアーズ)は全て売りました。
前回(2022/6/19時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりでした。
前回のポートフォリオ
保有銘柄の詳細
現在(2022/7/31時点)のポートフォリオ保有銘柄の詳細(保有株数、平均取得単価、評価損益率)は以下のとおりです。
現在のキャッシュ比率は約60%と引き続き高い状態を維持しています。
保有銘柄の動き(2022/7/31時点)
前回(2022/6/19)から現在(2022/7/31)までの保有銘柄の動きは以下の通りです。
SBI・V・全米株式インデックス:9964 → 11261(+13.02%)
S&P500(eMAXIS Slim米国株式):17125 → 17125(+12.53%)
MCD(マクドナルド):234.38 → 263.37(+12.37%)
先進国株式(たわらノーロード):19421 → 21514(+10.78%)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR):73.49 → 78.42(+6.71%)
AMGN(アムジェン):234.72 → 247.47(+5.43%)
PG(プロクター・アンド・ギャンブル):132.36 → 138.91(+4.95%)
保有銘柄は先月から全て上昇しました。6月の下落といい最近はボラティリティ(値動き)が激しすぎて驚きます。短期筋がどれほど資金を動かしているのやら…
私事なため書くのも恐縮ですが、前回TSLA(テスラ)、MSFT(マイクロソフト)の株をすべて売ったのは完全に失策でした。利確なので損はしてないものの、悲観に偏った状況で株を売らないことは想像以上に難しいです。
売買動向
購入した銘柄
前回(2022/6/18)から現在(2022/7/31)までに購入した銘柄は特にありませんでした。
売却した銘柄
前回(2022/6/18)から現在(2022/7/31)までに売却した銘柄は以下の通りです。
全売却:GLDM(SPDRゴールド ミニシェアーズ)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)は原油価格が急落して、株価が下落した時にポジションの半分を利確しました。とはいえ、まだインフレはピークアウトしておらずエネルギー価格は再度上昇していくとみています。
理由としては、バイデン大統領がサウジアラビアに石油を増産するよう交渉に行ったものの失敗に終わったことから直近の原油価格は上昇しているためです。そのため、インフレはまだピークアウトせずに原油価格も上昇し続けるとみています。
そのため、また買い場を探ってはいきたいと考えています。
GLDM(SPDRゴールド ミニシェアーズ)
GLDMはゴールドETFを売った理由としては、4月に購入して下落続きで値上がりする気配がなかったためです。チャートとしても下落トレンドに転換しているため売った流れとなります。とはいえ、直近では上昇しているため今後値上がりする可能性もあるとみています。
しかし金利も配当もつかず、他の資産に比べて値上がり率も低い印象を受けるため保有する意味をあまり感じない印象でした。これまでもゴールドは買った経験はありますが、長期保有する意味はほとんど感じませんでした。安全資産としての役割も薄く感じるため、短期売買向きに感じています。
チャート分析
S&P500
チャートはS&P500の日足チャート。2022年に入ってから株価は下落基調でしたが、6/17のFOMCを底値に反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は50日移動平均線(青線)を突破しているため短期的には強いです。現在の水準は2022年2月下旬~3月中旬の水準でレジスタンスも多いため上値も重くなってくる価格帯と思われます。
上昇する場合、ターゲットは200日移動平均線付近となる4350あたりでしょうか。下落する場合、50日移動平均線(青線)付近となる3900付近で留まれるかが焦点とみています。
NDX(ナスダック100)
チャートはNDX(ナスダック100)の日足チャート。S&P500同様、2022年に入ってから株価は下落基調でしたが6/17のFOMCを底値に反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は50日移動平均線(青線)を突破しているため短期的には強いです。現在の水準は2022年2月下旬~3月中旬の水準でレジスタンスも多いため上値も重くなってくる価格帯と思われます。
上昇する場合、ターゲットは200日移動平均線付近となる14000あたりと思われますが、レジスタンスが多いため、そこまではいかず13600が上値となる可能性も。下落する場合、50日移動平均線(青線)付近となる12000付近で留まれるかが焦点とみています。
DJI(ダウ指数)
チャートはDJI(ダウ指数)の日足チャート。2022年に入ってから株価は下落基調でしたが、6/17のFOMCを底値に反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は50日移動平均線(青線)を突破しているため短期的には強いです。現在の水準は2022年2月下旬~3月中旬の水準でレジスタンスも多いため上値も重くなってくる価格帯と思われます。
上昇する場合、ターゲットは200日移動平均線付近となる34000あたりでしょうか。下落する場合、50日移動平均線(青線)付近となる31600付近で留まれるかが焦点とみています。
米国10年国債利回り
チャートは米国10年国債の日足チャート。6/17のFOMCを高値に以降は下落基調が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は50日移動平均線(青線)を割って2022年5月時点の水準まで下落しています。2.60%を明確に下回った際、一段と下がる可能性があります。上昇する場合、50日移動平均線(青線)がある3.00%がレジスタンスになると思われます。
米国10年国債はインフレ動向などファンダメンタルの影響の方が大きいとみています。現在はFRBが将来的に利上げペースを緩めて、リセッション(景気後退)に陥っても金融緩和を再開するという期待感から下がっていると思われます。この前提のシナリオのまま進むか、崩れるかに注目すべきとみています。
AAPL(アップル)
チャートはAAPL(アップル)の日足チャート。6/17のFOMCを底値に反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は200日移動平均線(白線)を突破しているため強いです。チャートの形はGAFAMT(Google、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon、Microsoft、Tesla)など大型株の中で一番良いです。
200日移動平均線(白線)を突破していますが一時的の可能性もあります。下落した際、200日移動平均線(白線)がサポートとなれば本物の強さと思われます。200日移動平均線(白線)を割った場合、50日移動平均線(青線)をサポートとなるかが焦点となるでしょう。
私個人としてはAAPL(アップル)は引き続きホールド予定です。
TSLA(テスラ)
チャートはTSLA(テスラ)の日足チャート。6/17のFOMCを底値に反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は200日移動平均線(白線)付近となります。200日移動平均線(白線)を突破するか、跳ね返されるかが焦点となりそうです。
200日移動平均線(白線)を突破すればターゲットは950~1000となるでしょう。下落した際、50日移動平均線(青線)付近となる700台を維持できるか重要となりそうです。
TSLA(テスラ)は現在保有していませんが、またどこかで買いたいと思っています。そのため、引き続き言及していきたいと考えています。
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)
チャートはXLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)の日足チャート。6月中旬頃から急落しておりましたが、7月中旬頃から反発が続いています。
テクニカル分析の観点からみた場合、現在の株価は50日移動平均線(青線)付近となります50日移動平均線(青線)を突破するか、跳ね返されるかが焦点となりそうです。
50日移動平均線(青線)を明確に突破すれば、上昇が再開する可能性が高いです。下落した際、200日移動平均線(白線)付近となる70台を維持できるか重要となりそうです。
私個人としてはここから原油価格は再度上昇していくとみています。原油価格が上昇していく場合、現在織り込んでいるインフレがピークをつけたという楽観シナリオは崩れる可能性が高くなるため、NDX(ナスダック100)などハイテク株も再度下落する可能性も頭に入れた方が良いと思われます。
投資方針
まず7月FOMCの内容をまとめてみました。
・今回のFOMCで75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施
※75ベーシスポイントの利上げは2会合連続。通常は25ベーシスポイントの利上げ
・9月のFOMCの利上げ幅はデータ次第で判断
・今回の利上げで政策金利は「2.25~2.50%」に
・2022年末の政策金利想定は「3.25~3.50%」
【その他注目発言】
・インフレ率を2%まで引き下げることが不可欠
・9月のFOMCで「もう一度、異例の大幅利上げが適切」
・利上げペースを緩めることが適切となる可能性も
・QT(資産圧縮)を続ける
・今後はこれまでのような明確なガイダンスを提供しない
7月のFOMCでパウエルFRB議長は75ベーシスポイントの利上げを実施。パウエルFRB議長の発言後、株価は急騰しました。NDX(ナスダック100)にいたっては1日で4%以上上昇するなど今年最大の上昇でした。
ここまで株価が急騰した要因としては、パウエルFRB議長が「利上げペースを緩めることが適切となる可能性」についても言及したためでしょう。このことから年後半の利上げペースの鈍化、もしリセッションになってもFRBは金融緩和を再開するという期待感から米国10年国債利回りが低下。ハイテク株を中心としたNDX(ナスダック100)を中心に大きく上昇する流れとなりました。
とはいえ、現在の株価は市場関係者がかなり楽観的に偏った結果の水準と思われます。楽観的な要素を思いつく限り並べると以下となります。
・スタグフレーション(不況下の物価上昇継続)に陥らずソフトランディングは可能
・もし景気後退となってもFRBは利上げペースを緩めることへの期待感
・将来的な金融緩和再開への期待
・米長期金利(米国10年国債利回り)が低下
問題は現在の株価は上記の楽観的な要素を織り込んでいるということです。つまり、上記のシナリオが崩れると株価は急落する可能性が高いとみています。もし想定以上にインフレが長引いてFRBが利上げペースを落とせないなど、時間的なズレが発生しても楽観シナリオは崩れる可能性があると思われます。
私個人としては6月FOMC後に悲観シナリオに偏っていた時とは真逆。現在はかなり楽観に偏った状況にあると感じています。そもそも歴史を遡ると、株価が大きくトレンド転換するのは利下げに転じたタイミングです。現在のような積極的に利上げを行っている状況で株価は底入れはしづらいため、今回の上昇はブルトラップである可能性は排除せずにみていきたいと考えています。7月FOMCについては後藤達也さんがまとめていただいていたため、詳しく知りたい方はご確認いただくとより深く理解できると思われます。以下、リンクを貼らせていただきます。
9月のFOMCまで間があるため、今後の株価の動きは予想しづらいです。パウエルFRB議長は9月FOMCでの利上げ幅については「データ次第」としているため、CPI(消費者物価指数)を中心としたインフレ動向に注目していきたいところです。
相場でもっとも大切なことは「退場しないこと」。楽観にも悲観にも偏りすぎず、いきたいところです。
軸となるのは、コア・サテライト戦略。コアの部分(インデックス投資、長期保有を前提とする優良な個別株・ETF)をしっかり固めて、サテライト(旬な個別株・ETF、レバレッジをきかせた短期トレードなど)で機動的に攻め、攻守に優れたポートフォリオを築いていくべきでしょう。
コア・サテライト戦略:NEXT FUND

「皆が悲観している時に買い、楽観でいる時に売る」
言うは易し、やるは難しですね。今年はまさにそんな相場が続きます。
7月の株価急騰がベアマーケットの中のブルトラップ(強気の罠)か、本物の上昇かはわかりません。ただ、現状の水準で積極的に買っていくのはリスクが高いと私はみているため引き続き慎重姿勢で臨みたいと思います。。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
私、チャボはtwitter(@jeimus_fuccon)でも米国株について発信しているのでご興味ございましたらフォローよろしくお願いします。
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