2022年になってから株安が止まる気配がありません。5月の米国市場は「Sell in May(株は5月に売れ)」となり株安。6/10に発表された米国5月CPI(消費者物価指数)が市場予想(8.2%)を上回る8.6%が発表され、インフレ(物価上昇)がピークアウトしていなかったことが判明しました。ちなみに米国5月CPI(消費者物価)で発表された8.6%は1981年以来の高い数字のようです。
6/16のFOMCではFRB(米国の中央銀行)は75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを発表。発表後、株価は一時的に急騰しましたが翌日以降、株価は下落しました。
7月のFOMCでも50~75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げの可能性が高まったため、株価はいよいよ上がる材料が見当たらないくらい悲観的な状況となってきました。FOMCの内容を踏まえるとFRBはインフレが収まるトレンドがみられない限りは利上げペースを緩めることはないと思われます。おそらくリセッション(景気後退)も不可避でしょう。
現在の株式市場は売られ過ぎに感じるかもしれませんが、地合いは極めて悪いため底はまだ先とみるべきでしょう。当面の株価は一時的に反発する局面があっても上昇が続く可能性は低いとみています。そのため、今後も乱高下しながらも株価は下落していく展開を予想しています。
Myポートフォリオ(2022/6/19時点)
保有銘柄とポートフォリオ内の比率
現在(2022/6/19時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりです。
現在のポートフォリオ
悩みましたがTSLA(テスラ)、MSFT(マイクロソフト)の株をすべて売りました。代わりにMCD(マクドナルド)、AMGN(アムジェン)、PG(プロクター・アンド・ギャンブル)などリセッション時に強い株を打診買いしていっています。
前回(2022/5/8時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりでした。
前回のポートフォリオ
保有銘柄の詳細
現在(2022/6/19時点)のポートフォリオ保有銘柄の詳細(保有株数、平均取得単価、評価損益率)は以下のとおりです。
現在、リセッション(景気後退)に備えてポートフォリオの組み替えを行っています。ちなみに現在のキャッシュ比率は約60%とかつてないほど高めています。
保有銘柄の動き(2022/6/19時点)
前回(2022/5/8)から現在(2022/6/19)までの保有銘柄の動きは以下の通りです。
GLDM(SPDRゴールド ミニシェアーズ):37.37 → 36.5(-3.33%)
MCD(マクドナルド):250.78 → 234.38(-6.54%)
先進国株式(たわらノーロード):21288 → 19421(-8.77%)
ABBV(アッヴィ):152.83 → 138.28(-9.52%)
S&P500(eMAXIS Slim米国株式):18929 → 17125(-9.53%)
MSFT(マイクロソフト):274.73 → 247.65(-9.86%)
SBI・V・全米株式インデックス:11070 → 9964(-9.99%)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR):82.92 → 73.49(-12.37%)
PG(プロクター・アンド・ギャンブル):156 → 132.36(-15.15%)
AAPL(アップル):157.28 → 137.13(-16.35%)
TSLA(テスラ):865.65 → 696.69(-24.88%)
保有銘柄は先月からほぼマイナスのパフォーマンスでした。個人的にはここ数週間で今年(2022年)好調だったエネルギーセクターすら下落してきたことに驚きました。
売買動向
購入した銘柄
前回(2022/5/8)から現在(2022/6/18)までに購入した銘柄は以下の通りです。
新規追加:MCD(マクドナルド)、AMGN(アムジェン)、PG(プロクター・アンド・ギャンブル)
AAPL(アップル)
AAPL(アップル)は130台になった時、少し買ってしまいました。今となっては時期尚早だったかと感じています。平均取得単価に加えてドル安円高だった時に買っていたことから私が保有している個別株の中ではもっともパフォーマンスが良いですが、楽観はできない状況となってきました。私の平均取得単価の107.76は割らないとは思っていますが、可能性としては「ありうるかも…」と考えるようになってきました。
MCD(マクドナルド)
MCD(マクドナルド)は皆様もご存知、世界中に数多出店している米国の大手ファストフード・チェーン企業。MCD(マクドナルド)の特徴は高配当株であるという点、そしてリセッション(不況)に強いという点です。リセッション(不況)が到来しようと持てる個別株と考えたため株を打診買いした流れとなります。
AMGN(アムジェン)
ABBV(アッヴィ)は米国のバイオ医薬品メーカー。高度な細胞生物学と分子生物学に基づく治療薬の開発、製造、販売を展開しています。AMGN(アムジェン)の特徴は高配当株であるという点、そしてリセッション(不況)に強いヘルスケアセクターの企業である点です。リセッション(不況)が到来しようと持てる個別株と考えたため株を打診買いした流れとなります。
PG(プロクター・アンド・ギャンブル)
PG(プロクター・アンド・ギャンブル)は米国の一般消費財メーカー大手。PG(プロクター・アンド・ギャンブル)の特徴は高配当株であるという点、生活必需品セクターの中で米国を代表する企業である点です。リセッション(不況)にも強いはずですが、直近では株価の下落が目立ちます。しばらくは下落圧力が続く可能性が高いため注視する必要があると考えています。
売却した銘柄
前回(2022/5/8)から現在(2022/6/18)までに売却した銘柄は以下の通りです。
TSLA(テスラ)
TSLA(テスラ)の株をどうするかはかなり迷いましたが、全て売却しました。株を全て売却した理由はS&P500が年初から20%以上下落して弱気相場入りしたためです。このことからリセッション(景気後退)は不可避と考えました。S&P500が最悪30%を超える下落の可能性も十分ありうると感じたためです。
TSLA(テスラ)もさらに下げる可能性が高いと感じたため利益確定することを決めました。もちろん優良銘柄であるため、将来的にまた買うことも考慮しています。しかし、そのタイミングは今ではないと考えています。
MSFT(マイクロソフト)
MSFT(マイクロソフト)も全て売却しました。売却理由は平均取得単価の239.1もそろそろ下回りそうなほど下落してきたためです。またMSFT(マイクロソフト)はS&P500との連動性も高いため、S&P500が年初から20%以上下落して弱気相場入りしたため、MSFT(マイクロソフト)もさらに下落する可能性は高いと判断しました。
もちろん優良銘柄であるため、将来的にまた買うことも考慮しています。しかし、そのタイミングは今ではないと考えています。
ABBV(アッヴィ)
ABBV(アッヴィ)も全て売却しました。売却理由は買値から想定以上に下落したこと、保有株数を減らしたかったためです。損切りする際はいつもポートフォリオの中で最も癌(がん)になっているものからというマイルールに従って行っており、例に漏れず切った流れとなります。
チャート分析
S&P500
チャートはS&P500の日足チャート。株価は2022年に入ってから年初来安値を更新し続けています。週足を見る限り、次のターゲット3500あたり。今年のどこかでコロナ前の水準である3400付近まで下落する可能性も十分ありうる動きです。
テクニカル分析の観点からみても、現在の株価は50日移動平均線(青線)を大きく下回っているため弱いです。短期的には反発もありうるかもしれませんが、もし反発したとしても50日移動平均線(青線)がレジスタンス(抵抗線)となります。
売られすぎている印象を受けるかもしれませんが、売られすぎ以外に上昇材料はほぼ見当たらないため当面は下落トレンドが続くとみています。
NDX(ナスダック100)
チャートはNDX(ナスダック100)の日足チャート。株価は2022年に入ってから年初来安値を更新し続けています。今年(2022年)不調のハイテク株比率が高いためS&P500よりも下落率は一層大きいです。週足を見る限り、次のターゲットは10000あたり。今年のどこかでコロナ前の水準である9700付近まで下落する可能性も十分ありうる動きです。
テクニカル分析の観点からみても、現在の株価は50日移動平均線(青線)を大きく下回っているため弱いです。短期的には反発もありうるかもしれませんが、もし反発したとしても50日移動平均線(青線)がレジスタンス(抵抗線)となります。
S&P500で述べた通り、上昇材料はほぼ見当たらないため当面は下落トレンドが続くとみています。
DJI(ダウ指数)
チャートはDJI(ダウ指数)の日足チャート。節目となる30000を割り込み、株価は2022年に入ってから年初来安値を更新し続けています。コロナ前の水準も目前となっており、割り込むのは時間の問題でしょう。週足を見る限り、次のターゲット29000あたり。正直、どこまで落ちるか検討がつかない状況になってきました。
テクニカル分析の観点からみても、現在の株価は50日移動平均線(青線)を大きく下回っているため弱いです。短期的には反発もありうるかもしれませんが、もし反発したとしても50日移動平均線(青線)がレジスタンス(抵抗線)となります。
S&P500とNDX(ナスダック100)と比べると下落率はまだマシですが、コロナ前の水準を主要指数の中で最も早く割りそうです。上昇材料はほぼ見当たらないため当面は下落トレンドが続くとみています。
AAPL(アップル)
チャートはAAPL(アップル)の日足チャート。株価は完全に崩れてしまいました。
テクニカル分析の観点からみても、50日移動平均線(青線)と200日移動平均線(白線)がデッドクロスを明確に形成しました。週足を見る限り、120付近まで下落する可能性もあるとみています。
私個人としてはAAPL(アップル)は現在売る予定はありません。既にキャッシュ比率を高めているため、コアとしているAAPL(アップル)株まで売る必要はないと考えているためです。秋あたりまでは下落トレンドの流れになりそうですが注視していきたいと考えています。
TSLA(テスラ)
チャートはTSLA(テスラ)の日足チャート。株価は完全に崩れてしまいました。
テクニカル分析の観点からみても、50日移動平均線(青線)と200日移動平均線(白線)がデッドクロスを明確に形成しました。週足を見る限り、560あたりまで下落する可能性もあるとみています。
現在の市場環境はTSLA(テスラ)にとってかなり不利であるため、現在が買い場であるとは感じていません。TSLA(テスラ)自体は素晴らしい企業ですが、地合いが悪いため買い場はまだ先と考えています。
MSFT(マイクロソフト)
チャートはMSFT(マイクロソフト)の日足チャート。株価は完全に崩れてしまいました。
テクニカル分析の観点からみても、50日移動平均線(青線)と200日移動平均線(白線)がデッドクロスを明確に形成しました。週足を見る限り、220あたりまで下落する可能性もあるとみています。
MSFT(マイクロソフト)自体は素晴らしい企業ですが、地合いが悪いため買い場はまだ先と考えています。
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)
チャートはXLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)の日足チャート。今年(2022年)に入ってからS&P500とNDX(ナスダック100)を始めとした米国市場が急落する中、最高値を更新し続けていましたが直近では大きく下落しています。
テクニカル分析の観点からみると50日移動平均線(青線)を割り込んでしまったため200日移動平均線(白線)でサポートが入るかどうかが重要となるでしょう。
ファンダメンタルズ分析の観点からみると、今回のエネルギーセクターの急落の背景としては「バイデン政権が米国が生産されるシェールオイル、シェールガスの輸出を制限することを検討している」という観測が報道されたためです。
観測であるため決定事項ではありません。ただ、この観測がどうなるか次第でエネルギーセクターの価格は大きく変わってくるでしょう。観測の域で終われば株価は反発すると思われます。しかし、観測が事実となると株価はさらに下げてくると思われます。
また、インフレ(物価上昇)が収まってくると株価は落ちてくると思われます。当面は続報を待ちつつ注視していきたいと考えています。場合によってはポジションの縮小も視野に入れる必要があるかもしれません。
今後の投資方針
まず6月FOMCの内容をまとめてみました。
・今回のFOMCで75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施
※75ベーシスポイントの利上げは1994年以来。通常は25ベーシスポイントの利上げ。
・次回(7月)のFOMCでは50~75ベーシスポイントの利上げの可能性が高い
・今回の利上げで政策金利は「1.50~1.75%」に
・2022年末の政策金利想定は「3.25~3.50%」
【QT(量的縮小)】
・2022年6月から毎月475億ドルを上限に圧縮を開始
・圧縮規模は9月に月額950億ドルに拡大
その他注目発言】
・米国5月CPI(消費者物価指数)のインフレ再加速には「驚いた」
・政策運営は物価動向次第
・インフレについては「さらなるサプライズが待っている可能性もある」
前回のFOMCでパウエルFRB議長は75ベーシスポイントの利上げについては慎重な姿勢でしたが、今回75ベーシスポイントの利上げを発表しました。前言を撤回する流れとなった理由は、6/10に発表された米国5月CPI(消費者物価指数)が市場予想(8.2%)を上回る8.6%が発表され、インフレ(物価上昇)がピークアウトしていなかったことが判明したためでしょう。
75ベーシスポイントの利上げは1994年11月以来、27年ぶりであるため今回の利上げ幅と現在のインフレ状況は異例の出来事だということがわかります。歴史的な急インフレのなか、FRBが大慌てで政策対応に動いている状況といえるでしょう。ちなみに現在ほどのインフレの状況にあった時期は1980年代まで遡ることになるようです。
また、今回のFOMCで2022年末の政策金利想定は「3.25~3.50%」という言及がありました。現在は政策金利は「1.50~1.75%」です。つまり今年(2022年)、残り4回のFOMCで計1.75%の政策金利の上昇が想定されることになります。
これはあくまで現時点の基本シナリオにすぎません。前回と今回の会合でこれほど政策運営がかわったように、物価などの情勢次第でシナリオは大きく変わる可能性があります。
今回の6月FOMCについては後藤達也さんがまとめていただいていたため、詳しく知りたい方はご確認いただくとより深く理解できると思われます。以下、リンクを貼らせていただきます。
今年に入ってから株価はずっと下落基調であるため、値頃感から買いたくなるかもしれません。しかし現在は自重すべき状況と思われます。少なくともインフレが収まるトレンドをFRB(アメリカの中央銀行)がしっかり確認しない限り、利上げの手を緩めることはないわけですからね。
インフレが収まるトレンドを確認するには少なくとも6月、7月、8月の米国CPI(消費者物価指数)が3ヶ月連続で下落する必要があります。それが確認できるのは、どれだけ早くても9月です。それまでFRBは利上げのペースを緩めることはなく、株式市場にとって厳しい展開が続くことを意味します。
現状ではもはや業績相場はなくなって、現在は逆金融相場の局面にあると思われます。7/27のFOMCでも75ベーシスポイントの利上げが発表される可能性が高いとみています。
FRBが今後も利上げとQT(量的縮小)を続けていく状況を踏まえると長期投資を軸にしている方はつみたてNISAなど積立投資だけ継続して、まだしばらくは「休むも相場」のスタンスでいた方が良いかもしれません。
今年調子が良かったいエネルギーセクターも変調をきたしていることも気がかりです。もはや、今年利益を出すには売りも絡めた短期トレード(CFD、FX、信用取引)程度しかないとようになってきました。短期トレードはスキルを要するため、株式比率を減らすことが無難な対応と思われます。自身の裁量に応じて対応していきましょう。
相場でもっとも大切なことは「退場しないこと」。株価がさらに下落しないにこしたことはありませんが、今年のマーケット環境はリーマン・ショック時、もしくはドットコムバブルの崩壊時と同等。1980年代のハイパーインフレ時と比較しても遜色ないほどにならないくらい悪いと聞きます。コロナ前の水準までの下落も十分ありうるでしょう。山が高ければ、谷も深いもの。最悪を想定しつつキャッシュ比率を高めて、好機に動けるように資産管理していきたいと思います。
軸となるのは、コア・サテライト戦略。コアの部分(インデックス投資、長期保有を前提とする優良な個別株・ETF)をしっかり固めて、サテライト(旬な個別株・ETF、レバレッジをきかせた短期トレードなど)で機動的に攻め、攻守に優れたポートフォリオを築いていくべきでしょう。
コア・サテライト戦略:NEXT FUND

私は現在キャッシュ比率を約60%とかつてないほど高くしています。今はリスクをとる局面ではないと判断したためです。株価の底入れは早くても2022年9~10月頃になるのではないかと考えています。皆様も退場だけはしないよう気をつけてください。最悪の状況ではCash is Kingです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
私、チャボはtwitter(@jeimus_fuccon)でも米国株について発信しているのでご興味ございましたらフォローよろしくお願いします。
「記事が参考になった!」という方はボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです。
コメント