2022年、年初からずっと続いていた株安もようやく一服しました。3/16のFOMCで25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが発表されて以降、株価は急反発!ハイテク株を中心に急騰する展開となりました。
急騰した理由としては、おそらく予想通りの利上げ幅だったことによる不透明感の払拭と思われますが…想像以上の反発という印象でした。利上げ幅が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に留まったのはロシアのウクライナ侵攻が大きく影響していると思われます。
とはいえ、4月以降はFOMCメンバー内でハト派だったブレイナードFRB副議長のタカ派発言、4/6に発表された3月FOMC議事要旨から5月のFOMCで50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げがほぼ確実の流れとなり、QT(量的縮小)も実施されることが意識されてきています。
6月以降のFOMCでも50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げがくる可能性が十分あること、QT(量的縮小)がさらに拡大していくことが予想されます。3月FOMC議事要旨によると今回のQT(量的縮小)の規模は月額上限950億ドル。これは前回(2017~2019年)のQT(量的縮小)の2倍の規模です。この規模でのQTと急速な利上げは過去に経験がありません。
現在、株価はまた調整局面となりつつあるため、目先で多少の反発はあっても中長期的には厳しい展開が続くと思われます。
急速な利上げは株価を低迷させることに
急速な利上げは株価を低迷させるリスクがあることを著名投資家・Mark Minerviniが指摘しているためツイートを引用させていただきます。
Yesterday's sell off was attributed to Brainard's comments that the FED is looking to run off its balance sheet more rapidly than previously anticipated. As I pointed out a couple weeks ago, Fast tightening cycles have a more negative impact than slow cycles. 👇 pic.twitter.com/WsP1o4efYj
— Mark Minervini (@markminervini) April 6, 2022
利上げ時も株価は上がるとの声もよく聞きますが、それは利上げペースが遅い場合です。今回はインフレ(物価上昇)を抑えるため、FRBは5月以降のFOMCで50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを複数回おこなってくる可能性が極めて高いです。ちなみに通常の利上げは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)です。
著名投資家・Mark Minerviniのツイートにおけるチャートの「Fast Tightening Cycle(オレンジの線)」を確認する限り、急速な利上げが行われる場合、株価が長期で低迷する可能性が高いです。今回はさらに過去に前例がない規模でQT(量的縮小)も行ってくるため一段と警戒が必要でしょう。
Myポートフォリオ(2022/4/10時点)
保有銘柄とポートフォリオ内の比率
現在(2022/4/10時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりです。
現在のポートフォリオ
前回(2022/3/13時点)のポートフォリオ(保有銘柄と比率)は以下のとおりでした。
前回のポートフォリオ
保有銘柄の詳細
現在(2022/4/10時点)のポートフォリオ保有銘柄の詳細(保有株数、平均取得単価、評価損益率)は以下のとおりです。
3月の株価上昇は逃げ場だと感じたため、前回から保有銘柄数をさらに減らしました。保有銘柄は過去最低の数となっています。
保有銘柄の動き(2022/4/10時点)
前回(2022/3/13)から現在(2022/4/10)までの保有銘柄の動きは以下の通りです。
S&P500(eMAXIS Slim米国株式):17304 → 19472(+12.53%)
先進国株式(たわらノーロード):19445 → 21854(+12.39%)
SBI・V・全米株式インデックス:10902 → 11400(+11.85%)
AAPL(アップル):154.73 → 170.09(+9.93%)
MSFT(マイクロソフト):280.07 → 296.97(+6.03%)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR):76.85 → 79.53(3.49%)
保有銘柄は全て上昇しました。
チャート分析
保有銘柄が少なくなったのでチャート分析もしていきたいと思います。
S&P500
チャートはS&P500の日足チャート。現在の株価は200日移動平均線(白線)の付近となります。
50日移動平均線(青線)が200日移動平均線(白線)をデッドクロスしているため、勢いはなく、むしろ下落リスクの方が高く感じています。今後の動きとしては50日移動平均線(青線)が200日移動平均線(白線)の上に向かうか、下に向かうかに注目したい展開です。
NDX(ナスダック100)
チャートはNDX(ナスダック100)の日足チャート。3月の急反発で200日移動平均線(白線)まで戻しましたが、その後は跳ね返されています。
テクニカル分析の観点からみると、50日移動平均線(青線)が200日移動平均線(白線)をデッドクロスしているため下落リスクの方が高い状態にあります。ファンダメンタルズ分析の観点からみても、今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)を踏まえると上値が重い展開が続くと思われます。
TSLA(テスラ)
TSLA(テスラ)は3月の株価急反発局面における先導銘柄といっても過言ではないでしょう。株式分割の報道、イーロン・マスクがTWTR(ツイッター)の株式を9.2%保有するとなど、株価が上昇する材料が続きました。
チャートはTSLA(テスラ)の日足チャート。目先の動きだけ見ると強気にいきたいところですが、私としては下目線でみています。
理由は2021年11月をピークに株価は高値を切り下げているためです。今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)が加速することを踏まえると上値も重くなるとみています。
50日移動平均線(青線)が200日移動平均線(白線)をデッドクロスして明確に下回った場合、下値を切り下げる可能性があるため注意が必要でしょう。
TSLA(テスラ)は長期投資枠として考えてますが、今後の厳しい局面が予想されることに加えてポートフォリオ内で比率が30%を超えてオーバーウェイト気味なので一部利確しようかと考えています。
AAPL(アップル)
AAPL(アップル)は3月中旬~下旬に11連騰するなど、目先の動きとしては強いです。
チャートはAAPL(アップル)の日足チャート。2021年以降、どれだけ下がっても200日移動平均線(白線)で反発しています。
逆に言えば、200日移動平均線(白線)を明確に割り込んでしまった場合は要警戒といえます。とはいえ、GAFAM(Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoft)の中でAAPL(アップル)は最も安定した動きを見せています。そのため、AAPL(アップル)はトレードする株ではなくホールドする株という印象です。
個人的な話となりますがAAPL(アップル)は2017年以降、私が米国株投資を始めてから一番最初に投資した対象であり、これまでも一度もポジションを減らしたことがないことから私の中では特別な銘柄でもあります。そんなことから今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)も乗り越えてくれると信じているため、リセッション(景気後退)が来ようとホールドしたいと考えています。
※AAPL(アップル)は長期投資枠としてみているため株価の動きは気にしないでいく予定です。
MSFT(マイクロソフト)
MSFT(マイクロソフト)は他のハイテク株に比べると反発が弱いように感じています。
チャートはMSFT(マイクロソフト)の日足チャート。株価は200日移動平均線(白線)の付近にいます。50日移動平均線(青線)が200日移動平均線(白線)をデッドクロスしているため、勢いはなく、むしろ下落リスクの方が高く感じています。
もちろん優良銘柄であることは疑いようがないのですが、去年つけた最高値を今年更新することは厳しいかもしれないと思ってきています。あとはMSFT(マイクロソフト)のチャートはS&P500と酷似している点も注目すべき点とみています。
今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)が来る局面では下落する可能性が高いとみているため一部利確しようかと考えています。
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)
XLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)はFOMC以降、原油価格が急落したことからもっと下落するかと思いきや想像以上に強いです。このことから市場関係者の中でインフレ懸念は依然強いのではないかと考えています。
チャートはXLE(エネルギーセレクトセクターSPDR)の日足チャート。2021年以降、どれだけ下がっても200日移動平均線(白線)で反発しています。2022年以降は原油価格の高騰とインフレの加速も重なって上昇が加速しています。
今後の動きとしては原油価格とインフレ動向次第といった印象ですが、今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)を踏まえると株価は上目線で考えています。エネルギーセクターはハイテク株と逆相関の動きをする印象が強いため、リスクヘッジも兼ねて引き続き保有していた方が良いとみています。ポジションもどこかで増やすべきとみています。
売買動向
購入した銘柄
前回(2022/3/13)から現在(2022/4/10)までに購入した銘柄は特にありませんでした。
売却した銘柄
前回(2022/3/13)から現在(2022/4/10)までに売却した銘柄は以下の通りです。
WFC(ウェルズ・ファーゴ)
WFC(ウェルズ・ファーゴ)を売却した理由は、米短期金利(米2年国債利回り)が米長期金利(米10年国債利回り)が逆転、つまり逆イールドが発生したためです。
銀行は長短金利差で収益をあげているため、逆イールドが発生すると業績が悪化しやすいです。現在は逆イールドは解消されているため株価は反発する可能性がありますが、先行きが懸念される局面であり、ポートフォリオの断捨離を行いたかったため全てのポジションを解消しました。
DVN(デボン エナジー)
DVN(デボン エナジー)はFOMC以降、原油価格が急落した局面で売ってしまいました。その後に反発していることから売る必要もなかったように感じていますが、やはりよくわかっていない銘柄を持ち続けるのは至難だと実感しました。
SBLK(スターバルク)
SBLK(スターバルク)は浮き沈みの激しい銘柄で相変わらず何が好材料か、悪材料か、判断するのは無理と判断したためポートフォリオの断捨離の際に売りました。
NASDAQ100(2568)
NASDAQ100は今後の急速な利上げ、QT(量的縮小)を踏まえると今が高値かと感じたため全てのポジションを解消しました。
今後の投資方針
3月FOMC議事要旨は今後、大胆な利上げを行っていくことを示唆するタカ派な内容でした。この内容はFRB(米国の中央銀行)は株価が下落することになってもインフレを抑えようとしていることを意味します。それほど現在のインフレは深刻ということでしょう。現在、FRBは物価の安定が最優先事項にみていると考えるべきでしょう。
以下、3月FOMC議事要旨の内容をまとめてみました。
・5月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げはほぼ確実
・6月以降も50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを行う可能性も
・今年すべてのFOMCで利上げを行う可能性も
QT(量的縮小)
・5月にQT(量的縮小)が濃厚
・QTの月額上限950億ドル(前回のQTの2倍の規模)
・QTは5月以降も複数回行われていく予定
今年は「Sell in May(株は5月に売れ)」が当てはまる年になるとみています。今後の展開としては5月に利上げとQT(量的縮小)を控えていることから一段と警戒が必要と思われます。
今後のFRBの動きを踏まえると、長期投資を軸にしている方はつみたてNISAなど積み立て投資だけ継続してしばらくは「休むも相場」のスタンスでいても良いかもしれません。
金融相場も終わって、今後は業績相場のステージになるかと思われます。しかし現在のマーケット環境を踏まえると業績相場は短命、もしくは存在すらせずに逆金融相場に入る可能性も視野に入れるべきかもしれません。
今後の流れを踏まえるとS&P500とNASDAQ100(ナスダック100)は現在の水準からさらに15%ほど落ちる可能性もあるかもしれません。その場合、S&P500は3800、NASDAQ100は12000あたりまでの下落することになります。リスクがとれるのであれば短期的にはその水準は買い場かもしれません。
現在のマーケット環境で利益を出すには今年調子が良いエネルギー・金鉱・公益・生活必需品セクターなどを中心に投資するか、売りも絡めた短期トレード(CFD、FX、信用取引)など、限られた方法しかないと思われます。自身の裁量に応じて対応していきましょう。
相場でもっとも大切なことは「退場しないこと」。株価がさらに下落しないにこしたことはありませんが、現状のマーケット環境は極めて悪いです。山が高ければ、谷も深いもの。最悪を想定しつつキャッシュ比率を高めて、好機に動けるように資産管理していきたいと思います。
軸となるのは、コア・サテライト戦略。コアの部分(インデックス投資、長期保有を前提とする優良な個別株・ETF)をしっかり固めて、サテライト(旬な個別株・ETF、レバレッジをきかせた短期トレードなど)で機動的に攻め、攻守に優れたポートフォリオを築いていくべきでしょう。
コア・サテライト戦略:NEXT FUND

投資スタイルは人それぞれ。まずは生き残ることを第一に考えて、この厳しい局面を乗り越えましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
私、チャボはtwitter(@jeimus_fuccon)でも米国株について発信しているのでご興味ございましたらフォローよろしくお願いします。
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