米国市場は先週(11/29~12/3)、ダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000はすべての主要指数が2週連続で下落。下落圧力が続く展開となっています。
12/3(金)に発表された米国11月雇用統計では雇用者数が市場予想を大きく下回り、株価が一段と下落しました。また、クラウド署名で有名なDocusign(ドキュサイン)の株価が1日で-42%急落しました。利上げ観測の高まり、オミクロンの感染拡大からラッセル2000など小型グロース株の下落が続いており、市場の様相がこれまでと明らかに変わってきています。しかし市場参加者が恐怖に慄いている現状、チャンスは近いといえます。
先週を振り返りつつ、今後の展望について語っていきたいと思います。
注目ニュース(11/29~12/3)
米国11月雇用統計、予想下回る!結果を受けて株価は急落
12/3(金)に発表された米国11月雇用統計が発表され、発表後に米国市場は大きく下落しました。結果は以下のとおりでした。
結果:+21.0万人
市場予想:+55.0万人
失業率
結果:4.2%
市場予想:4.6%
平均時給(前月比)
結果:4.8%増
市場予想:5.0%増
雇用者数が予想を下回ったことから雇用回復を見据えたFRBの見立てに疑問が生じており、市場参加者が不透明感からリスク回避のため株を売っているのではないかと思われます。また、現在はタックスロス・セリングの次期とも重なっており、節税対策のため株が売られやすい時期でもあります。インフレ(物価上昇)の長期化から不景気のインフレにあたるスタグフレーションの懸念も高まっています。
一方、失業率は大幅に改善されています。今回の失業率4.2%はコロナ後最低の水準です。失業率が低いということは労働人口参加率としては高いはず。失業率が低くて労働人口参加率が高いのなら新規雇用者数が少ないのは自然だと思うんですけど…
要は「今回の米国雇用統計は株が売り込まれるほど悪い内容ではなかったのではないか」と感じています。雇用者数の結果が市場予想から大きく外れたことを売り材料に使われただけではないかと感じています。もしそうなら株価はそろそろ底を固めるはずなので注目しています。
米国の失業率については、日本経済新聞の後藤達也さんがまとめてくださっているためツイートを引用させていただきます。
🇺🇸失業率
さきほど発表の11月雇用統計。2001年~の長期チャートです。コロナ直前は3.5%と50年ぶりの低さを記録。コロナで14.8%に急上昇しましたが、直近は4.2%にまで低下しました。歴史的にみて、かなり低い水準です。コロナ情勢次第ですが、来年には半世紀ぶりの記録を再び更新する可能性もあります pic.twitter.com/7MEgpT56Os— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) December 3, 2021
Docusign(ドキュサイン)が急落!小型グロース株は要警戒
クラウド署名で有名なDocusign(ドキュサイン)の株価が1日で-42%急落しました。急落の要因は決算でガイダンスが予想を下回ったためです。
Docusign(ドキュサイン)の決算については、ユーエスさんがまとめてくださっているためツイートを引用させていただきます。
📝 $DOCU DocuSign FY22 Q3
⭕️EPS: $0.58🆚$0.46
⭕️売上高: $545.5M(+42%)🆚$530.7M▶️Highlights
Subscription: $528.6M(+44%)
請求額: $565.2M(+28%)▶️売上高ガイダンス
❌Q4: $557~563M🆚$573.79M
❌FY22: $2.083~2.089B🆚$2.09B▶️時間外 -29%📉 pic.twitter.com/lIRtu6X7yj
— ユーエスさん🇺🇸米国株投資🍺🥃🍷🍶⚽ (@us_stock_invest) December 3, 2021
以下、Docusign(ドキュサイン)の日足チャートとなります。
もはやナイアガラの滝ですね…これが-42%急落の衝撃よ。一時期、株価は300を超えていましたが9月頃から下落。今回の急落で日足200移動平均線(白線)も大幅にした下回ったことから、もはや再起不能の域です。ここから買うなどは、もってのほか。もし私がこの銘柄をもっていたら損切りします。
既にテーパリングが始まっており、利上げが早まることを市場が織り込んできていることからDocusign(ドキュサイン)に限らず小型グロース株は今後かなり厳しい展開が予想されます。特にコロナで大きく伸びた小型グロース株は要警戒でしょう。
例を掲げると今回のDocusign(ドキュサイン)、Zoom(ズームビデオ)のような銘柄です。いずれも決算をミスしてから叩き売られています。
米国市場は現在、既に金融相場から業績相場への移行期に入ったと考えています。
これまでの金融相場ではFRBによる緩和マネーが市場に流れてこんできていたから小型グロース株は大きく値を伸ばしました。しかし、テーパリングで緩和マネーが縮小されていくと業績相場へと移行するため企業は自力で業績を伸ばす必要があります。この状況で株価を伸ばせる企業は良い決算を出し続けられる企業のみです。特に小型グロース株は決算をミスれば、今回のDocusign(ドキュサイン)のように悲惨な結果になるリスクがあります。個別株をされている方は小型グロース株は極力避けた方が良いでしょう。
市場参加者は弱気!?買い場ではあるが売りが続く展開か
著名投資家・Mark Minervini氏が12月3日にTwitterで「S&P500がどう動くか?」アンケートをとっており、以下の結果となっておりました。
What will the S&P 500 do first?
— Mark Minervini (@markminervini) December 2, 2021
「ここから10%上昇する」と「ここから10%下落する」の2択で「ここから10%下落する」が上回る結果となっており、市場参加者は来週以降もS&P500に対して弱気に見ていることが伺えます。とはいえ、株は多数派が勝つものではありません。
利上げ観測とオミクロンの動向に振り回れている現状において、来週の株価がどう動くか予想することは半丁博打と同義でしょう。確実にいえることは現状において株は下落トレンドだということです。
著名投資家・Puru Saxena氏は以下のようにツイートしています。
For the next few weeks/months, safe havens are likely to be US$ cash and 30-Year USTs.
During asset liquidation/post-bubble contractions, capital usually flows to the safety of the senior currency and sovereign debt market, but obviously anything can happen. Time will tell.
— Puru Saxena (@saxena_puru) December 3, 2021
FRBが流動性を枯渇させ、資産購入を減らしている限り、リスク資産は圧力を受け続けるだろう。
Q1からQ2のどこかの時点で、デフレ現象やインフレ率の鈍化・亀裂が発生し、それによってFRBは方針を転換してラリーに火をつけることになるだろう。
今後、数週間から数ヶ月の間、安全な避難場所は米ドルの現金と30年物の米国債になるでしょう。
資産の流動化やバブル崩壊後の収縮期には、通常、資本は安全な上級通貨やソブリン債市場に流れますが、明らかに何が起こるかわかりません。時間が解決してくれるでしょう。
内容を読んだ限り、今後数週間から数ヶ月の間はリスク回避の流れが続く可能性があります。しかし、来年のQ1からQ2のどこかでインフレが改善されてくればFRBが方針を転換。そこで買い場はくるとは見ている様子でした。
米国市場の動き(11/29~12/3)
米国主要指数(ダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000)
先週(2021/11/29~12/3)、米国市場の主要指数の動きは以下の通りでした。
S&P500:4594.61 → 4538.44(変動値:-56.17 変動率:-1.22%)
ナスダック100:16025.58 → 15712.04 (変動値:-313.54 変動率:-1.96%)
ラッセル2000:2245.93 → 2159.31(変動値:-86.62 変動率:-3.86%)
以下は2021/12/3時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
先週はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000はすべての主要指数が2週連続で下落。一ヶ月単位でみても大きく下落しており、特に小型株が多いラッセル2000の下落率はここ1ヶ月で-10%を超えています。小型株の売り圧力の強さがうかがえます。
米長期金利(米10年債金利)
米長期金利(米10年債金利)はリスクオフの流れから債権が買われているため、大きく下げています。この点は株にとってはプラス。流れはどこかで反転するとみています。
VIX(恐怖指数)
VIX(恐怖指数)がついに30を突破。20以上であれば市場はリスクオフと判断するため、現状の水準はかなり高いです。しかし、VIX指数が30以上でS&P500かNASDAQ100を買えば1年後には上昇する確率はほぼ100%であるため今はチャンスといえます。底は見えませんが、長期を見据えるのであれば買いにいっても問題ないでしょう。
VIX指数の詳細については、くりぼうずさんのツイートを引用させていただきます。
VIX指数25以上で投資した場合、1年後に株価が上昇している確率は100%(2009年以降)。
⚠️米国株のはなし pic.twitter.com/M5dTLk0rF2
— くりぼうず (@kuriboze9) November 30, 2021
Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)
市場の恐怖と欲望を表した「Fear & Greed Index」も恐怖に大きく傾いています。市場が恐怖に傾いている時は買い場です。
Fear&Greed Index:CNN Businsess
S&P500ヒートマップ
先週(2021/11/29~12/3)、S&P500ヒートマップの各銘柄の動きは以下の通りでした。
S&P500(直近1週間の動き):finviz
S&P500ヒートマップだけ見てると強弱まちまちにみえますね。大きく落ちているのはラッセル2000などに属する小型株が多いためか、こちらはそこまで酷くは見えないように感じます。
しかし、TSLA(テスラ)、FB(旧フェイスブック)、NFLX(ネットフリックス)、CRM(セールスフォース)、ADBE(アドビ)、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)などが-6%を越える下落をしていることから売り圧力の強さがうかがえます。売られているのは小型株だけでなく、大型テックにも大きな売り圧力が入っています。
S&P500平均月次パフォーマンス
S&P500は11月以降、翌年1月まで例年強いです。しかし、今年の11月はマイナスの結果となってしまいました。しかし、S&P500自体は超優良なので些事ですね。
今週の決算スケジュール
今週はCOST(コストコ)、GME(ゲームストップ)などの決算があります。注目銘柄の決算はほぼ済んでいるため、今週は決算で大荒れとなる可能性は低そうです。
決算スケジュールはEarning Whispersより引用させていただきます。
#earnings for the week https://t.co/lObOE0dgsr $CHPT $GME $LULU $CHWY $COST $AZO $RH $SAIC $LOVE $AVGO $DLHC $PATH $COUP $MDB $ASO $DBI $THO $ORCL $PLAY $CBP $SFIX $HRL $S $CONN $SUMO $SOL $UNFI $KFY $GTLB $CIEN $ALCO $PD $TOL $HQY $CASY $CNM $VRA $GEF $JW.A $ALOT $PLAB $AOUT pic.twitter.com/hbsXWrcfKW
— Earnings Whispers (@eWhispers) December 4, 2021
為替相場の動き(11/29~12/3)
通貨強弱
先週(2021/11/29~12/3)、為替相場の各通貨の動きは以下の通りでした。
為替変動率・変動値
2021/12/5時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
為替相場は先週に引き続き円高。引き続き特にポンドと豪ドルが弱かったです。現在の株と為替は相関性があるため、リスクオフ時は株安円高。リスクオンになれば、株高円安になると思われます。
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Docusign(ドキュサイン)が急落!コロナで一相場つくった銘柄が1日にして-42%下落して崩壊する惨状には震えました。利上げが意識されている現状、小型グロース株への投資はリスクが高いためポジションを極力抑えるべき局面でしょう。投資の基本は「退場しないこと」です。
VIX指数も30を越えてきており、市場参加者は恐怖に慄いています。しかし、こういう局面でVTI、S&P500、NASDAQ100を買えば1年後の上昇確率はなんと100%!短期勝負でない限り、指数はここが買い場といえるでしょう!
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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