先週(2021/11/8~12)、米国市場はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000、全ての主要指数が下落。米国市場は軟調な地合いでした。
イーロン・マスクが持ち株を売却し、テスラの株価が急落。米国10月CPI(消費者物価指数)が31年ぶりの伸び率となり、インフレ(物価上昇)の長期化への警戒感が強まる週となりました。インフレが長期化した場合、来年は景気減速下のインフレにあたるスタグフレーションとなる可能性もあるため注意する必要があるかもしれません。
先週を振り返りつつ、今後の展望について語っていきたいと思います。
注目ニュース(2021/11/8~12)
米国10月CPIが31年ぶりの伸び率!インフレの長期化への警戒感強まる
米国10月CPI(消費者物価指数)が6.2%と市場予想(5.8%)を大きく上回る結果となりました。6.2%は31年ぶりの伸び率となります。サプライチェーンの混乱や人手不足など供給制約に加え、エネルギー価格の上昇が影響したようです。
米国10月CPIについては、日本経済新聞の後藤達也さんがわかりやすくまとめてくださっているのでツイートを引用させていただきます。
🇺🇸インフレさらに加速
さきほど発表の10月の米CPI(消費者物価)。総合指数は6.2%と市場予想(5.8%)を大きく上回り、31年ぶりの伸び率に。供給制約やエネルギー高の影響でさらに加速しています。高インフレが長引けば、米利上げの議論も深まっていく可能性があります pic.twitter.com/izTiBK0fub— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) November 10, 2021
米国10月CPIの結果は、市場参加者にインフレの長期化を懸念させます。インフレの圧力が続けば、経済の加熱を抑えるためにFRBが早期の利上げを実施してくる可能性も出てきます。現在、利上げは2022年中旬頃と予想されていますが、早まる場合は株価が崩れる可能性が高いと思われます。引き続き注意すべきでしょう。
テスラが急落!イーロン・マスクが持ち株を売却
イーロン・マスクが持ち株を売却したことでテスラの株価が急落しました。影響を受けてTSLA(テスラ)は週間-15.44%下落しました。売却金額としては69億ドル(約7800億円)相当で企業のCEOにより実施された売却額としては過去最大のようです。
事の発端は先週、イーロン・マスクがTwitterでツイッター民に「テスラの持ち株10%売却してもよいか?」とアンケートを実施。アンケート結果でYESがNOを上回る結果にとなり、予告通り持ち株を売った流れとなります。
今回の騒動ですが、おそらくイーロン・マスクは持ち株の売却は前々から決めていたと思われます。とはいえ、持ち株を売却した際の自身への風当たりがキツくなるのは避けたいところ。タイミングを探っていたところ、米国の議会で裕福層への課税案が話題となり「売り逃げの口実ができた!このタイミングであれば自社株を売っても非難されまい」と確信を持って動いたものと想定されます。…あくまで憶測ですが、自社株の売却を前々から考えていたのは間違いないと思われます。
ちなみにイーロン・マスクはTwitter投票時には1.7億株を保有しており、持ち株を10%売却するまで残り約1000万株売る必要があるようです。イーロン・マスクが持ち株を10%売却すると約2兆円の売り圧力となります。そして現在、売却した持ち株はまだ2/5程度と想定されます。
イーロン・マスクが予告通り持ち株10%売るかは不明ですが、しばらくのあいだテスラの株価は不安定な動きをするかもしれません。
どこまで落ちる?テスラ株の下落目安
以下は年初(2021/1~2021/11/14現在)からのTSLA(テスラ)の日足チャートです。
10月下旬の決算以降、株価が急騰。イーロン・マスクの持ち株を売却したことで急落している流れとなります。テクニカル分析としては日足50日移動平均線(白線)を大きく上回っているため、引き続き強いです。決算も良かったためファンダメンタルズとしても強いです。さらにEVは時代の潮流です。
先週、株価が一時1000を割ったため、今週はこのラインを守れるかがポイントでしょう。1000を再度下回るようであれば日足50日移動平均線(白線)と今年2月の高値である900付近まで下落する可能性があります。とはいえ、そのラインはサポートも厚いため反発する可能性はかなり高いとみています。
下落に注意しつつも900台では積極的に買っていっても良いとみています。
米国市場の動き(2021/11/8~12)
米国主要指数
先週(2021/11/8~12)、米国市場の主要指数の動きは以下の通りでした。
S&P500:4697.54 → 4682.86(変動値:-14.68 変動率:-0.31%)
ナスダック100:16359.38 → 16199.89 (変動値:-159.49 変動率:-0.97%)
ラッセル2000:2437.1 → 2411.78(変動値:-25.32 変動率:-1.04%)
以下は2021/11/13時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
先週はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000、全ての主要指数が下落。米国市場は軟調な地合いでした。
米長期金利(米10年国債利回り)とVIX(恐怖指数)に大きな変動はありませんでした。インフレの長期化の懸念が出てきているものの、マーケット環境はリクスオン継続の地合いです。
S&P500は11月以降、翌年1月まで例年強いです。今は強気で問題ないでしょう。
S&P500ヒートマップ
先週(2021/11/8~12)、S&P500ヒートマップの各銘柄の動きは以下の通りでした。
S&P500(直近1週間の動き):finviz
冒頭でも述べた、イーロン・マスクの自社株を売却した影響でTSLA(テスラ)が週間-15.44%と下落が目立ちます。また決算をミスったPYPL(ペイパル)とDIS(ディズニー)も大きく下落しています。
その他の銘柄も米国10月CPI(消費者物価指数)の予想を上回る結果からインフレの長期が懸念された影響を受けて軟調な動きとなりました。アノマリーとしては強いシーズンですが、悪材料が意識されるようだと株価は思ったほど伸びない展開となるかもしれません。
今後は米国のインフレ状況、FRBのテーパリング動向と来年の利上げ時期など、これまで以上に市場情報を意識しておく必要があると思われます。
今週の決算スケジュール
今週はNVDA(エヌビディア)、TSM(台湾セミコンダクター)、SE(シィ リミテッド)、LOW(ロウズ)、WMT(ウォールマート)、TGT(ターゲット)、M(メーシーズ)、HD(ホームデポ)、BABA(アリババ)などの決算があります。
決算スケジュールはEarning Whispersより引用させていただきます。
#earnings for the week https://t.co/lObOE0dgsr $BABA $NVDA $WMT $TSN $TGT $HD $LCID $SE $RAIL $M $AMAT $LOW $BIDU $JD $OEG $GMBL $ZIM $OTLY $CSCO $HHR $POWW $RMBL $TJX $KSS $FL $STNE $BFLY $WMG $IDEX $JMIA $KLIC $SONO $ACM $IQ $BILI $VBLT $PTN $KALA $NTES $CSIQ $CMAX $AAP pic.twitter.com/IfPFCwJkoG
— Earnings Whispers (@eWhispers) November 13, 2021
注目はやはりNVDA(エヌビディア)でしょう。今年は業績も株価の伸びは凄まじく、株価は既に年初から2倍以上になっています。半導体のみならず、メタバース(デジタル仮想空間)においても先端を走っており、もはやTSLA(テスラ)とともにネクストGAFAMの筆頭といえる企業となっています。
株価水準としてはかなり高いと思われるため、今回の決算は業績が株価に追いついているか注目したいところです。
為替相場の動き(2021/11/8~12)
通貨強弱
先週(2021/11/8~12)、為替相場の各通貨の動きは以下の通りでした。
為替変動率・変動値
2021/11/14時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
先週の為替相場はドル高円高。ドルと円が強い状況が続いており、ユーロ、ポンド、豪ドルは11月以降は低調です。
現在はドル円においてドルのほうが強いため市場に大きな混乱は起きておりませんが、2021年初から続く円安トレンドがそろそろ転換しつつある気配を感じています。もし円がドルより強くなった場合、株も崩れて世界的にリスクオフになる可能性があります。
本当のリスクオフ局面で資金が集まるのは、金利がなく通貨として信頼されている円です。為替はFXなどをされている方はもちろん気にされていると思いますが、株をされている方もたまに見て動きを確認しておくとリクスを察知しやすくなれるためオススメです。
特に今はドル円が崩れるか、崩れないかがバロメーターとして機能しているためドル円の動きには今後も特に注意したいところです。
コメント

インフレが長期化する可能性は高そう。年内は大丈夫と思うけど来年はどこかで株が崩れるか…FRBが早期利上げに動く可能性が出てきた場合、要注意。来年は投資家としては真価が試される年となりそう。(独り言)
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