先週(2021/11/1~5)、米国市場はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000、全ての主要指数が最高値を更新。米国市場の力強い上昇が続いています。
先週はFOMCでFRB(米連邦準備制度)がテーパリング開始を決定。米雇用統計も市場予想を上回りました。また、ファイザーのコロナ治療薬の報道などがあり、マーケット環境に影響が起きそうな報道も多くありました。
先週を振り返りつつ、今後の展望について語っていきたいと思います。
注目ニュース(2021/11/1~7)
米国がテーパリング開始を決定
先週、FOMCにてFRB(米連邦準備制度)がテーパリング(緩和縮小)開始を決定しました。
FRBはこれまで月額1200億ドルを購入していたが、11月から購入額を月150億ドル(米国債100億ドル+ MBS 50億ドル)削減していく方針。順調にいけば来年の半ばにテーパリングを完了する公算となります。
テーパリング完了後の利上げについては「経済次第」と発言。これまで市場参加者は「テーパリング終了とともに利上げを開始するのではないか?」と考えておりましたが、今回のFOMCでパウエルFRB議長は早期の利上げはしないと牽制しました。これを市場参加者は好感して、株高継続の流れとなったとみています。
今回のFOMCについては日本経済新聞の後藤達也さんがわかりやすくまとめてくださっていたのでツイートを引用させていただきます。
◆クイック解説
FRBがテーパリングを決定。下記にポイントをまとめました
朝7:00~下記リンクでビデオ解説もします。日経の会員でなくてもみられます。いま資料を急いでアップデート中です。よければご覧ください。こちらにリプで質問くだされば、なるべく答えます▽動画https://t.co/CLD2tB2Cmz pic.twitter.com/L8LaIkPEcI
— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) November 3, 2021
テーパリングを開始すれば、現在問題となっているインフレ(物価上昇)や経済の過熱も時期に収まるとの観測からリスクオン継続となりました。
テーパリングを開始すれば「FRBが米長期債を買わなくなる」との理由で米長期金利が上昇しやすくなるのではないかと思うかもしれません。しかし実際はテーパリング発表後、米長期金利は低下しています。
これは今回のFOMCでテーパリングが開始されるのは予想通りの展開だったためです。債券市場の投資家は既に米長期債を売っており、悪材料出尽くしから米長期債を買い戻したようです。以上が今回のテーパリング発表後の米長期金利の低下の意味するところでしょう。
米長期金利の低下は株式にとってはもちろん好材料です。ただし、この市場環境はどのくらい続くかは不明です。テーパリング開始自体は米長期金利の上昇圧力につながるため、長期的には米朝金利は上昇してくると思われます。
米10月雇用統計、予想上回る
米国の10月雇用が発表され、以下の結果となりました。
失業率:結果 4.6%(市場予想 4.7%)
※9月分は19.4万増 → 31.2万人増に上方修正
米国10月雇用時計はすべて予想を上回る結果となりました。米国経済は順調に回復していっております。この環境であれば、今回のテーパリング開始も問題はなさそうです。
米国10月雇用統計についても日本経済新聞の後藤達也さんがわかりやすくまとめてくださっていたのでツイートを引用させていただきます。
【速報】🇺🇸雇用統計
・10月雇用 53.1万人増
・市場予想 45万人増▼あす土曜朝9:30~
BSテレ東「日経プラス9サタデー」に出演し、雇用統計や米金融政策、金融市場について解説する予定です#雇用統計 pic.twitter.com/l6wQzLHCLU— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) November 5, 2021
ファイザーがコロナ治療薬を緊急使用申請へ
米国製薬大手・ファイザーが開発中の新型コロナウイルス感染症の治療薬を緊急使用申請するとの報道がありました。高リスク患者の入院・死亡を89%減らしたとする臨床試験結果を発表。コロナの治療方法とパンデミックの方向性を大きく変える可能性があります。この発表でファイザーの株価は前日から+10%を越える上昇をみせました。
ファイザーが開発中の新型コロナウイルス感染症の治療薬についての記事は以下となります。
同様の治療薬は先日、米国製薬大手・メルクも発表しており、ファイザーの治療薬は2つ目となります。報道を受けて、メルクは前日から-9%以上下落。医療診断機器大手・ダナハーも急落。ワクチンを製造しているモデルナにいたっては前日から-16%下落するなど大きな影響を与えています。
一方、旅行・ホテル関連の株価は上昇するなど、ゲームチェンジを起こしかねないほどの影響力があります。今後の株価の動きに注目したい報道です。
イーロン・マスクがテスラ株を売却するかも!?
イーロン・マスクがTwitterでツイッター民に「テスラの持ち株10%売却してもよいか?」と聞いており、炎上しています。背景は不明ですが、富裕層への税金関連の話からこのような展開になったそうな。
Much is made lately of unrealized gains being a means of tax avoidance, so I propose selling 10% of my Tesla stock.
Do you support this?
— Elon Musk (@elonmusk) November 6, 2021
ちなみにイーロン・マスクはテスラ株の17%を保有しており、持ち株を10%売却すると約2兆円の売り圧力となる模様。これはかなりの売り圧力です。
現在テスラの株価は高騰しているため落ちたら買い場になるとは思います。しかしパニック売りに繋がる可能性もあるため、想定以上の下落となるかもしれません。買う場合は注意が必要でしょう。
米国市場の動き(2021/11/1~5)
米国主要指数
先週(2021/11/1~5)、米国市場の主要指数の動きは以下の通りでした。
S&P500:4605.39 → 4697.54(変動値:+92.15 変動率:+2.00%)
ナスダック100:15850.47 → 16359.38 (変動値:+508.91 変動率:+3.21%)
ラッセル2000:2297.19 → 2437.1(変動値:+139.91 変動率:+6.09%)
以下は2021/11/5時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
ダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000、全ての主要指数が最高値を更新。米国市場の力強い上昇が続いています。
S&P500は11月以降、翌年1月まで例年強いです。基本的に株は強気で問題ないでしょう。
米長期金利(米10年国債利回り)は10月下旬につけた1.7をピークに下落傾向にあります。米長期金利が1.7を越えて急騰し続けない限りは株高は続くと思われます。
VIX(恐怖指数)は16.47と市場は楽観ムード継続。年内に20を越えることもなさそうな雰囲気です。
S&P500ヒートマップ
先週(2021/11/1~5)、S&P500ヒートマップの各銘柄の動きは以下の通りでした。
S&P500(直近1週間の動き):finviz
半導体、自動車、旅行、一般消費財のセクターが非常に強かったです。特にNVDA(エヌビディア)、QCOM(クァルコム)など半導体関連の銘柄は週間+15%を越える上昇をみせました。また、TSLA(テスラ)、F(フォード)といった自動車関連、CCL(カーニバル)、SBUX(スターバックス)など旅行、一般消費財関連も強かったです。
一方、ヘルスケアは強弱まちまちの動き。コロナ治療薬を発表したPFE(ファイザー)は週間+10%を越える上昇をみせましたが、MRK(メルク)、DHR(ダナハー)などは大きく売られました。特にワクチンを製造するMRNA(モデルナ)は週間-30%を越える下落。明暗が分かれる結果となりました。
米国市場としては強気ですが、個別株は明暗が分かれる傾向が出てきているため銘柄選定には注意したい展開です。確実に取りたい場合、やはりVTI(全米株式インデックス)とS&P500を買うのがベストでしょう。米長期金利が低い現在ならNASDAQ(ナスダック)も良いでしょう。
今週の決算スケジュール!
今週はPYPL(ペイパル)、DIS(ディズニー)、PLTR(パランティア)、UPST(アップスタート)、BNTX(バイオンテック)、COIN(コインベース)、PLUG(プラグパワー)、NIO(ニオ)などの決算があります。
決算スケジュールはEarning Whispersより引用させていただきます。
#earnings for the weekhttps://t.co/lObOE0uRjZ $PYPL $PLTR $TTD $AMC $BNTX $NIO $COIN $UPST $SOFI $DIS $FUBO $COTY $WKHS $PLUG $WISH $RBLX $CLOV $TSEM $SPCE $GRWG $LMND $VTRS $AFRM $VAC $USFD $OCGN $SDC $FVRR $PSFE $DDD $NSSC $ZNGA $OPEN $MT $EHTH $WEN $DHI $BYND $EDIT $GTES pic.twitter.com/v9km2GQ6lZ
— Earnings Whispers (@eWhispers) November 6, 2021
注目はやはりPYPL(ペイパル)でしょう。PINS(ピンタレスト)の買収報道で急落後、株価は低調です。同業のSQ(スクエア)が決算を外したため、PYPL(ペイパル)も外した場合はさらに下落するリスクがあるため注意が必要です。
為替相場の動き(2021/11/1~5)
通貨強弱
先週(2021/11/1~5)、為替相場の各通貨の動きは以下の通りでした。
為替変動率・変動値
2021/11/6時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
為替相場は円高。特にポンドと豪ドルが大きく売られました。
ポンドが売られた背景としては、英中銀金融政策委員会(MPC)にて英国が利上げすると予想されていたなか、利上げが見送られたためと思われます。市場参加者が利上げを既定路線と見ていたところ、見送られたため大きく売られたのでしょう。
為替については大きな流れではレンジ相場が続いているため、方向感が出た方向についていきたい展開です。
コメント

イーロン・マスクがテスラ株を売ったら…テスラを買い増すチャンスか
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