先週(8/23~27)の米国市場は主要指数がすべて下落。ダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000すべて上昇しました。先日のジャクソンホール会議にて、パウエルFRB議長が「テーパリング開始は年内の可能性があるが、利上げを急がない」との発言したことで米国市場はさらに上昇しました。
今月も残すところ2日のみとなりますので、一足先に2021年8月の米国市場と為替相場を振り返りたいと思います。個人的にはかなり楽観的な雰囲気に感じているため、年間パフォーマンス最低で鬼門といえる9月相場は一層警戒していきたいと感じております。
まとめ
- ジャクソンホール会議にてパウエルFRB議長「テーパリング開始は年内の可能性があるが、利上げを急がない」と発言。市場はリスクオンに反応。
- アマゾンが後払いサービス「Buy Now Pay Later」導入へ。
- 9月の米国市場は年間パフォーマンス最低の月。あまり楽観的になりすぎないよう注意。
- 株は8月は全体としては強かったが、銘柄ごとに見ていくと強い銘柄と弱い銘柄がハッキリ。
- 今週はズームビデオ、クラウドストライク、ドキュサインなどSAAS銘柄の決算に注目。
- 為替は8月相場はドル、円、豪ドルが大きく動いたもののレンジ相場。
- 為替は9月はリスクオンに始まり、時間の経過とともにリスクオフの流れか。
ジャクソンホール会議を受けて株高に
注目されていたジャクソンホール会議は、パウエルFRB議長が「テーパリング開始は年内の可能性があるが、利上げを急がない」と発言。米国市場は上昇しており、市場参加者は今回のパウエルFRB議長の発言を好感してリスクオンに動いた印象です。
以下、パウエルFRB議長の主な発言をまとめてみました。
・条件としてきた「さらなる重要な進展」は物価面で満たした。雇用も明確な前進。
・デルタ株が拡大。注意深く点検。
・テーパリングは将来の利上げ時期の直接的なシグナルにならない。
・資産購入が終わっても、積み上がった資産は緩和的環境を支える。
・政策判断の時期を誤ると、雇用や経済活動を鈍らせ、物価を押し下げる。
・持続的なインフレが深刻になれば、政策手段を駆使する。
テーパリングは年内開始が適切としながら、利上げについては言及しなかったことを市場は好感したのではないかと推察します。
今後は「テーパリングの開始時期」「利上げ開始時期」について匂わせる発言があった際は要注意です。テーパリングの発表も早ければ、9月21~22日のFOMCに言及する可能性があるため注意したいところです。場合によってFOMCより早くアナウンスがあるかもしれません。
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言内容については「みんなのFX | トレイダーズ証券」にてまとめていただいたのでツイートを引用させていただきます。
【Dealer's Voice】
🇺🇸パウエルFRB議長が年内テーパリングの可能性を言及したのは初でした。FOMCで🕊️ハト派寄りだったパウエル議長の🦅タカ派発言で、年内テーパリング開始への機運が高まっています⚡️市場はドル安・円安・株高のリスクオン。ドル円は下落です以下、🇺🇸パウエルFRB議長発言まとめです pic.twitter.com/bfm7PN17tH
— みんなのFX|トレイダーズ証券 (@Min_FX) August 27, 2021
アマゾンが後払いサービス「Buy Now Pay Later」導入へ
先週金曜日の引け後に出たニュースですが、AMZN(アマゾン)がAFRM(アファーム)と提携して後払いサービス「Buy Now Pay Later(以降、BNPL)」を導入するようです。このニュースはとんでもないニュースになる可能性があるかもしれません。
なぜなら、クレジットカード決済が主流の現在の環境を大きく変えるほどの破壊力を秘めている可能性が高いからです。なにせ資産を持ってない人や収入が低い人でも「BNPL」を利用すれば高額商品を購入できてしまうわけですからね。しかも、分割決済でありながらリボ払いのように利息はかからない。それがアマゾンのような世界最大のECサイトで実装されるわけです。
なお、このニュースはAMZN(アマゾン)にとって良いニュースというよりAFRM(アファーム)にとって良いニュースです。今回のニュースでAFRM(アファーム)はアフターマーケットで暴騰しています。
しかし、私としてはAFRM(アファーム)以上に買いだと思うのはMQ(マルケタ)ですね。この会社はすべての「BNPL」の黒子として駆動している会社です。AFRM(アファーム)がもし駄目でも「BNPL」が今後普及するのであればMQ(マルケタ)は間違いなく伸びるわけですからね。
ただ、これは将来的にリーマンショック並みの金融危機を引き起こす可能性があるという意見すらあります。投資というより投機として考えた方が良いかもしれません。しかし、大きな波になる可能性が高いため乗っても良いかもしれません。
2021年8月米国市場振り返り
米国主要指数
2021年8月(8/2~27)、米国市場の各指数の動きは以下の通りでした。
S&P500:4395.27 → 4509.38 (変動値:+114.11 変動率:+2.60%)
ナスダック100:14959.9 → 15432.95 (変動値:+473.05 変動率:+3.16%)
ラッセル2000:2226.24 → 2277.15 (変動値:+50.91 変動率:+2.29%)
8月の米国市場は例年そこまでパフォーマンスが良くないのですが、今年は強かったです。ナスダックを中心に堅調に推移しており、ダウとS&P500も堅調な動きでした。低調だったラッセル2000にも月下旬頃から資金が戻ってきました。
しかし9月の米国市場は年間パフォーマンス最低の月であるため、あまり楽観的になりすぎないよう注意したいです。
ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が「テーパリング開始は年内の可能性があるが、利上げを急がない」と発言したことから市場はかなり楽観的になっているように感じているため、市場にとって想定外のことが起きたときの下落は想定以上になりますからね。火種はあちこちで燻っており、なにがキッカケでトリガーとなるかわかりません。…米国の9月相場って毎年、基本的に下落しますからね。警戒するに越したことはありません。
以下は2021/8/29時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
S&P500は8月終了前についに年間+20%を達成。ここ一旦の天井となるか、さらに伸びるか注目したいところです。
S&P500ヒートマップ
直近1ヶ月のS&P500ヒートマップ、各銘柄の動きは以下の通りです。
S&P500(直近1ヶ月の動き):finviz
2021年8月は全体としては強かったのです。しかし、これまではセクターごとの動きでしたが最近は同じセクターでも強い銘柄と弱い銘柄との差が顕著に出るようになってきたように感じます。
主に決算が良くて、将来性が見込める企業が伸びている印象です。逆に言えば、決算をしくじったり、将来性に懸念がある企業は容赦なく叩き売られるわけですが…これは「上がり続けるものは上がり続け、下がり続けるものは下がり続ける」という相場の格言通りの動きにも感じます
AMZN(アマゾン)のような大型株でも決算をしくじれば、月-6.95%の下落となるわけなので個別株をやる場合はますます銘柄選定が重要となってきそうです。
今週の決算スケジュール
決算スケジュール:earningswhispers
今週の決算スケジュール(8/30~9/3)はZM(ズームビデオ)、CRWD(クラウドストライク)、DOCU(ドキュサイン)、OKTA(オクタ)など注目のSAAS(Software as a Service)銘柄の決算があるため注目したいです。
CRWD(クラウドストライク)は先週ナスダック100に採用されて決算前に急騰しているため、好決算でも上昇しづらいかもしれません。とはいえ、優良銘柄なので落ちたら買っていきたいところですね。
ZM(ズームビデオ)は好決算は出し続けているのですが、6月以降は340~400のレンジで動いているため、今回の決算で上げてほしいところですね。落ちるようなら再度300割れの可能性もあるので分水嶺となるかもしれません。
DOCU(ドキュサイン)は前回は好決算で急騰したので今回の決算の動きには注目したいです。高値圏にいるため、好決算でも上げづらいかもしれませんが、こちらも優良銘柄なので落ちたら買っても良いかもしれません。
OKTA(オクタ)は決算のガイダンスミスで落ちていましたが、先週から急騰しています。ガイダンスミスの理由はAuth0(オースゼロ)の買収のためのはず。先週の急騰はガイダンスの懸念材料を払拭されたか、もしくは決算期待からか。復活の足がかりとなるかもしれないため注目したいですね。
2021年8月為替相場振り返り
FX通貨強弱(直近1ヶ月の動き)
2021年8月(8/2~27)、為替相場の各通貨の動きは以下の通りでした。
8月相場はドル、円、豪ドルが大きく動いたものの、月下旬から巻き戻しが起きて月初めの水準に落ち着いてきました。ユーロとポンドは狭いレンジ。終わってみれば大きな動きはなかったため9月の動きには注目したい展開ですね。
FX変動率・変動値
前述したとおり、8月は結局はレンジ相場で明確な方向感は出ませんでした。9月相場は米国市場が下落しやすいことを踏まえるとリスクオフに流れやすいかもしれませんが、直近のところはジャクソンホール会議後はリスクオンの動きです。そのため、来週開始はリスクオンに流れやすいかもしれません。
しかしレイバーデー明け(9/6以降)はいつリスクオフになってもおかしくないと思うため、いつでも目線を切り替えれるように注意したいところです。特に9/21~22のFOMC付近は相場の流れが変わる可能性があるため注目したいですね。
コメント

8月の米国市場は想定以上のリスクオンでした。しかし強い銘柄と弱い銘柄とハッキリしてきています。9月は米国市場にとって毎年鬼門といえる月なので注意したいところです。しかし、市場が悲観になった時こそ買い場でしょう。
8月の為替相場は結局月初からほとんど方向感出てないんですよね。9月はリスクオン → リスクオフと見ていますが、どうなるやら…いつでも切り替えられるようにしていきたいところです。
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