2021/8/2~8/6の米国市場はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000とすべての指数が先週が上昇。為替もドル高円安とリスクオンの動きでした。
8/6に発表された米雇用統計は雇用者数、失業率、平均時給とすべて予想を上回り、申し分ない内容でした。さらに前月の雇用統計の雇用者数も上方修正。
FRB(米連邦準備制度)の一部メンバーからは「早期テーパリング(緩和縮小)の開始もある」との声が出てきています。先週の相場を振り返りつつ、今後の展望についても予想していきたいと思います。
まとめ
- 米7月雇用統計は文句なしの内容!しかし結果を受けて早期テーパリングの可能性も。
- 米主要指数は先週ダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000すべて上昇!しかし、ここからの上昇は難しいか。
- 決算とAfterpayの買収を受けてスクエア(SQ)が急上昇!銀行株と製薬株も強い。
- 為替はドル高、豪ドル高、円安の流れ。8月のアノマリーとは逆行する動きに。
- ドルインデックス、円インデックス、豪ドルインデックスから今後の展望を見る。
米7月雇用統計は文句なしの内容!しかし結果を受けて早期テーパリングの可能性も
米国7月雇用統計は雇用者数が市場予想87万人増のところ結果94.3万人増。失業率は市場予想5.7%のところ結果5.4%。平均時給は市場予想+0.3%増のところ結果+0.4%。前月分の上方修正もされており、雇用者数85万人増が93.8万人増に上方修正という結果となりました。
米国7月雇用統計の詳細については、日本経済新聞の後藤達也さんのツイートを引用させていただきます。
【速報】🇺🇸雇用統計
・雇用94.3万人増 今年最大
・市場予想は87万人増
・失業率5.4%
・市場予想は5.7% pic.twitter.com/3jjqFLGlz1— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) August 6, 2021
米国7月雇用統計は文句なしの結果でした。しかし、これだけ結果が良いとFRB(米連邦準備制度)の一部メンバーから出ている「早期テーパリング(緩和縮小)開始もある」という発言の後押しにもなりかねません。実際、今回の雇用統計を受けて米長期金利(米国10年国債利回り)は上昇しており、8月末に予定されているジャクソンホール会議でテーパリング(緩和縮小)について言及される可能性も高まったように思われます。
現在の米国市場の株高はFRB(米連邦準備制度)の金融緩和あったればこそです。いわば、米国市場はFRBより自転車の補助輪をつけてもらって走っているようなもの。テーパリング(緩和縮小)=自転車の補助輪を外すことを意味するので、補助輪なしではコケる企業も当然出てきます。
今回の米雇用統計を受けて「7月の雇用統計は強かった!米国経済は相変わらず強い!株高は継続だ!」などと考えていると、近いうちに痛い目をみる可能性は高い。…と私はみています。
米国主要指数(8/2~8/6)
2021/8/2~8/6、米国市場の各指数の動きは以下の通りでした。
S&P500:4395.27 → 4436.51(変動値:+41.24 変動率:+0.94%)
ナスダック100:14959.9 → 15109.36 (変動値:+149.46 変動率:+1.00%)
ラッセル2000:2226.24 → 2247.76(変動値:+21.52 変動率:+0.97%)
冒頭で述べたとおり、米国市場はダウ、S&P500、ナスダック100、ラッセル2000とすべての指数が先週が上昇。ダウ、S&P500、ナスダック100は最高値圏にいます。しかし、ここからは上値を伸ばすには少々難しいのではないかと感じています。
特にラッセル2000は2021年3月につけた最高値を未だに突破できていません。その理由は、ラッセル2000が下落傾向なのはテーパリング(緩和縮小)観測があるからだとみています。小型株が多いラッセル2000はテーパリング(緩和縮小)の影響を他の主要指数より受けやすいです。ラッセル2000が最高値を突破しない現状においては強気ではいきづらいです。
ダウ、ナスダック100は今年多少の調整はあったものの大きな調整はまだないです。S&P500に至っては今年調整らしい調整もありません。去年も9月頃に調整があったことも踏まえて、9月には大きな調整がきてもおかしくないでしょう。そもそも長期で大きく上昇するには調整は不可欠ですからね。
以下は2021/8/8時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
今年の現状における米国市場のパフォーマンスは正直言って良すぎます。だからこそ警戒が必要とみています。ラッセル2000は月間では下落しており、この指数は「炭鉱のカナリア」となりえます。
S&P500ヒートマップ(8/2~8/6)と注目銘柄
2021/8/2~8/6のS&P500ヒートマップ、各銘柄の動きは以下の通りです。
S&P500(直近1週間の動き):finviz
全体的には強弱まちまちといった動きでしたが、銀行株と製薬株が大きく値を伸ばしていました。また、決算と買収報道があったスクエア(SQ)も急上昇しました。
決算とAfterpayの買収を受けてスクエア(SQ)が急上昇!
8/2(月)に決算発表とオーストラリアの”Buy now, Pay later”サービスを提供するAfterpayの買収の報道を受けて、スクエア(SQ)の株価が週間+11.26%と急上昇しました。ご存知の方も多いと思いますが、スクエアはTwitter社のCEOを務めるジャック・ドーシーが創業したモバイル決済サービスを提供する会社。今回の報道を受けて新値も突破。ますます上昇が期待できるグロース株となりました。
長期金利の上昇を受けて金融セクター(銀行株)が上昇!
先週は長期金利の上昇を受けて金融セクターが好調でした。JPモルガン(JPM)が週間+3.77%、マバンクオブアメリカ(BAC)が週間+4.67%、ウェルズ・ファーゴ(WFC)が週間+6.16%と大きく株価を伸ばしました。
やはり長期金利が上昇すると、収益が上がることを好感されるためか銀行株は強いです。
ヘルスケアセクターは製薬株を中心に上昇!
ヘルスケアセクターも好調でファイザー(PFE)が週間+5.28%、イーライリリー(LLY)週間+8.19%、リジェネロン(REGN)が週間+6.31%と大きく上昇しました。今年はモデルナ(MRNA)、バイオンテック(BNTX)といったコロナワクチン株が凄まじい上昇を見せるなど、ヘルスケアセクターも強いです。
変異株が猛威を奮っていることを踏まえるとモデルナ(MRNA)、バイオンテック(BNTX)はまだ伸びしろはあるかもしれませんが、既に割高感があるためリスクが高いです。現状買うのであればファイザー(PFE)の方が割安で長期的なリターンも狙えるかもしれません。
為替相場の動き
FX通貨強弱(8/2~8/6)
2021/8/2~8/6、為替相場の各通貨の動きは以下の通りでした。
FX変動率・変動値(8/2~6)
2021/8/8時点の年間上昇率、月間の動き、週間の動きをまとめた内容となります。
先週はドル高、豪ドル高、円安でした。先週のブログで8月は円高豪ドル安になりやすいと書いたと思いますが、見事に逆にいきましたね。また、米7月雇用統計が良かったことからドル高に大きく動きました。
円インデックス
チャートは円の動きだけを表した円インデックス日足です。
円インデックス(日足チャート):TradingView
先週は円安で円インデックスも大きく下落しましたが、大きな流れは崩れていないため、まだ上目線で考えています。円安継続と見るのは90.38(下段の青線)を明確に割り込んだ場合とみています。現在の円インデックスは90.72なので、今週以降はそのラインを割り込まないか注目したいです。
上げてくる場合、90.97(中段の青線)を越えていき、最終的には91.68(上段の青線)は突破してくるとみています。
以下は円のシーズナルチャートです。
円シーズナルチャート:Equityclock
チャートを観察すると、8月(背景黄色のエリア)は円高になる傾向が強いです。
ドルインデックス
チャートはドルの動きだけを表したドルインデックス日足です。
ドルインデックス(日足チャート):TradingView
米7月雇用統計を受けてドル高に動いています。下落ターンを終えて上昇の流れに入ったとみているため、上目線で考えています。現在は92.78で推移。上昇する場合、93.17(上段の青線)を越えてくるとみています。
下落する場合、92.13(中段の青線)、91.49(下段の青線)でサポートが入るか注目したいところです。91.49(下段の青線)付近には200日移動平均線(白線)があり、過去にサポートとレジスタンスにもなっていることからかなり堅いゾーンとみています。
以下はドルのシーズナルチャートです。
ドルシーズナルチャート:Equityclock
チャートを観察すると、8月(背景黄色のエリア)はややドル高になる傾向にあります。
豪ドルインデックス
チャートは豪ドルの動きだけを表した豪ドルインデックス日足です。
先週は上昇したものの日足200日移動平均線(白線)を大きく下回っており、下落圧力は依然強い状況です。レジスタンスが集中している75.9(上段の青線)を明確に越えてくるまでは下落目線でみたいとみています。現在は73.56で推移しており、73.8(中段の青線)でレジスタンスとサポートが入りやすいため膠着しているものと考えられます。
もし下落する場合、サポートがほとんどないため70.58(中段の青線)辺りまで落ちる可能性もあります。とはいえ、さすが落ち過ぎなので72あたりまでは落ちそうなので下落狙いの方がリスクリワードとしても良さそうです。
以下は豪ドルのシーズナルチャートです。
チャートを観察すると、8月(Aug背景黄色のエリア)は豪ドル安の傾向が強いです。先週は予想外に強かったので今週の動きには注目したいです。
コメント

米7月雇用統計は文句なしの素晴らしい内容でした。しかし、それが早期テーパリング観測となる可能性があります。市場参加者がテーパリング懸念を抱くと現状の株高は意外と脆く崩れる可能性があるため注意が必要でしょう。
為替は8月は円高豪ドル安と見ていましたが、逆行中ですね。とはいえ、このまま円安豪ドル高が進むかはまだ懐疑的です。この時期は出来高が少なくキッカケがあれば流れは変わると見ているので市場を注視してチャンスを待ちたいと思います。
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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